トップページ > 現代訳 宗久翁秘録 > 一日の相場を考へ商致不宜事

一日の相場を考へ商致不宜事

2016/06/26 21:15:48

テーマ:現代訳 宗久翁秘録

 

本日は、現代訳宗久翁秘録 第147節「一日の相場を考へ商致不宜事」をご紹介致します。

 

1.原文

一日の相場を考へ商致すは宜しからず。三位の伝を以て高下を考へ、上げ下げ二ツの内、何程より上げ、何程迄下げ、何程にて止る、其節上方相場此方作合を考へ、始終は如何と丹念致、例へば買に付時は、此間の狂ひ高下に拘はらず、立羽を極めしつかりと可買出なり。然るを、安き処にては買と心掛け、高き処にては売と心掛るは、金高に計りなり、手取不足になる者なり。上と見込む時は、米の一体を考へ、片買と心得べし。若し又了簡違ふ時は、早速売返休み、得と米の動きを見るべし。其節弱く相見へ、売過す事易き者なり、甚だ不宜るなり。是非引下げ候と存じ候ても、不売休むべし。天井行付直段の後、売方に趣くも、同じ心持なり。

 

 2.現代訳

その日の相場の動きを見て、思い立って売買する事は良く無い。三位の秘伝に照らして、相場の高下を考え、上げ、下げの二途のうち、どこから上げ、あるいは、どの辺りまでさげるかを考える。また、その時の上方相場の動向、当地の作合を考え、結局相場の落ちつくところはどの辺りの水準かと考慮する。たとえば買い方に付く時は、その時の相場の動きに惑わされず、方針を決め、堅持して買いに入るが良い。そして、見込み通りに上げた時は、当初の予定通りの所で手仕舞うものである。

相場の大勢を見ずに、その時々の安値を安いと言っては買い、あるいは高いと言っては売る、そうした場当たりの相場では、いたずらに相場のアヤに振り回され、商いばかりが嵩んで利は取れない。大勢上げ相場を見込んだ時は買い一貫と心掛得るが良い。もし、見込み違いとなった時は、即座に売り返して、休んで、じっくりと相場の動きを見るが良い。そうした場合には相場はいかにも弱く見えて、売り越しやすいものだが、これは非常に良く無い。必ず下ると思っても、売り越さず休むが良い。大天井打ちの後で売り方に付く時も同様の心構えである。

 

3.私の解釈

 

 

 

 

この節では、相場に臨む際の戦術について説かれています。

 

その日の相場の値動きのみを見て、その値動きに翻弄される様な売買では、運良く勝つことが出来ても長続きせず、結局はトータルで損失が出てしまう事は良くある話です。これを避けるには、一日の相場の波を見る前に、それよりも一回り大きな波を見る事が必要で、その大勢の波の方向性を考え踏み出す事が重要であると言う意味だと思います。

 

そして、その大勢の波を見極める方法が、「三位の秘伝に照らして相場の高下を考える」であり、三位即ち、相場の水準、風、人気を考慮し、トレンドを判断すると言う意味であると思います。トレンドを見誤った場合には、潔く相場を離れ、値動きを見定める期間とする、休むも相場もまた重要です。

 

何れにしても相場で勝つには、大勢のトレンドを掴む必要があり、その判定には、やはりチャートの分析が最良であると思います。チャートは、その時々の相場に携わる人々の心の軌跡であり、トレンドも含め全てを語ってくれるものと考えます。