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利運の節心得方の事

2014/12/25 20:14:01

テーマ:現代訳 宗久翁秘録

 

本日は、現代訳宗久翁秘録 第38節 「利運の節心得方の事」 をご紹介致します。
 

1.原文

目次

 

商利運仕当る時は、先づ大概に致し、取留る者なり。其節一両月休むべし。此休むことを忘るる時は、何程利運に向きても、商仕舞の節は、決して損出べし。勝に誇り、百両の利は二百両取る気になり、千両に千両の気移り、慾に迷ふて見切兼、損出なり。又急ぎ儲くべしと、上げに下げにて取るべしと、相場を追掛け商い致す故、極めて上げ下げにて損出なり。是慾より出て迷ふなり、不利運の時は、尚以ての事なり。其時の見切大切の事なり、慎み心得べし。

 

2.現代訳


相場が見込み通りに当って、利運に乗っている時はまず、良い加減の所で相場を手仕舞うものである。その場合は一両日は休むが良い。此の休むということを忘れた時はどれほど利運に乗っていても、最後に手仕舞う時には必ず損が出ている。勝ちに驕って百両利が乗ると二百両も取る気になり、はては千両、二千両と気持ちが動かされ、慾に迷って見切る事が出来ず、損が出るものである。


また、あせって直ぐにでも儲けようと相場のアヤの上げ下げの動きを追い掛けて手を出すと、決まって損が出るものである。これは相場観も無しに慾心から相場に手を出して迷うものである。利運に乗っておらず、相場が見込とは逆目、逆目に出る時は尚更こうなり易い。その時の見切りが大切である。慎みという事を心掛けるが良い。 

 

3.私の解釈


この節のポイントは、 「勝に誇り、気移り、慾に迷ふて見切兼、損出なり。」 であると考えます。

相場を望んでおられる方々には、想定以上に含み益が出た場合、更に儲けられる気になって手仕舞いが遅れ、結果的に利が小さくなるか、場合によっては損失が出てしまった経験があるかと思いますが、これは、自分の見ようとしている相場の波を真に把握していないか、また把握していても欲によりブレてしまう場合に起こり得るものと思います。

 

そうならない為には、自分の見ている波を分析し、踏み出しポイント、そして利食いポイントを予め予定し、そのポイントが来た場合、万感を排して遂行すべきであると言う意味であると考えます。

 

また、宗久翁の教えとして、この節、その他の節に度々説かれている内容として、「休むも相場」があります。

 

  第33節  商内仕舞四五十日休の事
  第37節  不利運の節心得方の事
  

見込み通りに利が乗った場合、見込違いで含み損を抱えた場合、何れの場合でも淡々と利確/損切りを遂行し、熱くなった気を冷ますべく一旦休み、次の相場に向けての準備期間とする、これも大切な事であると思います。

相場に翻弄されず、生き残って行きたいものです。