トップページ > 現代訳 宗久翁秘録 > 三位の伝を以て上下鍛錬の事

三位の伝を以て上下鍛錬の事

2015/11/22 20:53:38

テーマ:現代訳 宗久翁秘録

 

本日は、現代訳宗久翁秘録 第69節「三位の伝を以て上下鍛錬の事」をご紹介致します。

 

1.原文

此商三位の伝を以て、一体の上下を見極め、二つの内、何程の下げ、何程迎上げ、何程似て止まる、其節、上方此方作合を考へ、始終如何と丹念致し、仮令ば買に付時は、其間の狂ひ高下構ひなく、立羽を崩さず、しっかりとすべきなり。思入当る時は、勘定の通取留者なり。安き処にて買、高き処にて売るべしと心掛けては、宜しからず。上げと見込む時は、全体を考へ、片買と心得べし。若し又了簡違ふ時は、早速売返し、休み、得と米の動きを見るべし。其節米弱みに見ゆる故、売過することあり、甚だ宜しからず。是非下ぐべしと存じても、売らざる者なり。心得べし。

 

 2.現代訳

三位の伝をもって、大勢が上げ相場に乗っているか、下げ相場に乗っているかを見定めて、下げ相場ならどれくらい下げるか、上げ相場とすればどれくらいまで上げて、どこで上げ止まるかを考える。その時には上方、当地の作柄を考え、常にどういった行動を取ったらよいか綿密に考慮することである。例えば、買に付く時は相場の目先の上下にこだわらず、当初の買い方針を堅持するのが良い。また、当初の見込みが当たった時は、深追いせず予定通りそこで利食うものである。

 

また、相場を安い所で買い、高い所で売るものと心掛けるのは良くない。上げ相場と見込んだ時は大勢に順応して、買の一方を心得るが良い。もしも、見込み違いになった場合はさっそく売り払ってしまい、相場を休んでしっかりと動きを見直すが良い。そう言った見込み違いの時は、相場が弱く見える為に売り過ぎてしまう事があるが、これははなはだ良くない。必ず下ると思っても、こうした時はドテン売りしないものである。心得ておくがよい。

 

 

3.私の解釈

この節では、前節「立羽もなく高下に連れ候事」に引き続き、方針を定めての売買の重要性、そしてその方針に従い売買する事の重要性について説かれています。

 

その方針を定める際の見極め方法が、「三位の伝を以て一体の上下を見極め」、「得と米の動きを見るべし」に込められています。これは、相場の値動きをしっかりと観察し、三位、即ち「相場の水準、人気、風」を考慮して、天井、底を確認し、トレンドの方向に売買すると言う事であると思います。また、その方針を定めた際には、トレンドの方向と逆方向に振れた時、その振れに惑わされない事が重要で、寧ろその振れを逆張りの踏み出しポイントとして捉えるべきと思います。

 

では、値動きをしっかりと観察するにはどうすべきか、これは、再三に渡り記事に書いていますが、やはりチャートに向き合うのが一番であると考えます。チャートは、その時々の相場に携わる投資家の、心の軌跡であり、全てを語ってくれるものです。バックミラー越しに見える景色で、前を見ていないと言う方も居られますが、未来を予見する事が出来るある種の天才は別として、凡人はチャートと向き合うのが最良であると思います。チャートと真摯に向き合う者が、最後に笑うと考えます。