2016/08/28 18:59:36
テーマ:現代訳 宗久翁秘録
本日は、現代訳宗久翁秘録 第153節「此書他見無用の事」をご紹介致します。
尚、この節にて、現代訳宗久翁秘録のご紹介を最終とさせて頂きます。
1.原文
此書、懇意の間柄にても、必ず必ず見せ申間敷なり、全く、我一人富まんとには非ず。此書を能々見極めもせず、心安き者に心得、売買致候へば、手違になり、時により身上に拘はり、恨みを受くる故に、必ず必ず他見無用の事、可秘可秘。殊に三位の伝は天下に稀なる法立にて、知る者数少なし。此法に随て売買致時は、神徳利運にして、損すると云ふことなし。大切に心得、秘蔵すべし。可慎、可秘。
2.現代訳
此の書は、どれ程の懇意の間柄の者であっても、決して他人には見せてはならない。
と言うのは、自分一人が富者になる為、と言う事では無く、此の書をよくよく見極めもせずに、安易に考え、相場を張って失敗し、場合によっては身上を潰すような事になってしまうと、故なき事で有っても恨みを受ける様になる。したがって、決して他見は無用、他人には堅固構えて秘すが良い。特に、三位の秘伝は天下に二つと無い相場仕法であって、知る者の数は少ない。この仕法に従って相場をする限り、神徳利運があって損をするということがない。大切に心得、秘蔵するが良い。他人には、堅固に秘すが良い。
3.私の解釈
この節を、誤解を恐れずに一言で表すとすれば、「相場師とは孤独なもの」であると思います。