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人も我も同じ見込の節海中に飛入心持の事

2014/07/03 20:19:37

テーマ:現代訳 宗久翁秘録


本日は、現代訳宗久翁秘録 第4節より抜粋です。

 

1.原文

目次

 「米段々下げ、上方相場無替事、諸国並びに最上払物沢山の風聞、人気も揃い弱く、何程下るも知れ難く、我が考えも弱かるべしと思う節、心を転じて買い入るべきなり。此思切、海中へ飛入心持ち甚だ成悪き者なれども、其節疑の気を生ぜず買ふべし、極めて利運なり。下と見込む時、思入れの通下る者なれば、心易きものなれども、人気下ると片寄る時は、却て上る者故、考に及ばざるなり。上も同断、即ち海中に飛込む心持ち、極意なり。」

 

2.現代訳

相場が次第に下がり、上方もやはり下げで、諸国や最上地方の諸藩の御払い米が大量に出るとの風聞にて人気も揃って弱く、何処まで下がるか判らない相場つきにて、自分の考えも弱気についた方が良いかと考える時は、心気を転じて買いに入るが良い。

この思い切りは、「海中に飛入る」気迫が必要で、そう簡単には決断出来ないものであるが、疑う事無く買うべきである、極めて大きな利運に乗れるものである。


誰の目にも下げ相場と見映る時、その見込通り下げるものならば、容易いものであるが、しかし人気が弱く一方的に偏る時は、却って上がるものであり、予想外の展開となるものである。
上げ相場転換も同様の理にて起こるものであり、海中に飛び入る気持ちで臨む事が極意である。

 

3.私の解釈

この節にて説かれている内容は、前回「引上大騒の節火中へ飛込む心持の事」にて説かれている内容と、よく似ています。この節では上げ相場で、前節では下げ相場で、双方とも、極まった時の言わば逆張り的な発想、心持ちについて説かれています。

 
但し、キーワードは「上げ、下げ相場共に、極まった時」であり、これを見間違えると、大きな損失を抱えてしまう事になってしまいます。即ち、天底を見極める事、これが重要であり、チャートを分析してトレンド転換を掴む事、これに尽きると思います。

 

私は、チャートは相場に携わる人々の心の軌跡であり、全てを語ってくれると言うのが持論であり、真摯に相場(チャートと)向き合う事が重要であると言う事では無いかと考えます。チャートの分析、格闘の日々が続きます。