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売方駆引六ケ敷事

2015/02/01 21:57:19

テーマ:現代訳 宗久翁秘録

 

 

本日は、現代訳宗久翁秘録 第47節 「売方駆引六ケ敷事」 をご紹介致します。

上げ相場とは異なり、駆引きの難しさが説かれています。
 

1.原文

一ケ年の内、上げ一度下げ一度の外は、大高下なしとす。上の内にも少々の下、下の内にも少々の上あり。是は通い相場にて、天井底を見る相場にあらず、通ひの高下に迷ふべからず、総べて付き出しは大切なり。買出し候は、思やみなるものなれど、利運に向くと時は、少しも苦身なき者なり。売方は心易き者なれども、甚だ駆引六ケ敷者なり。下がる時は、何程下るも知れぬ様になり、買返し後るる者なり。下げの調子、人の騒ぎに乗らず、慾を離れ買返す事第一なり。

 

2.現代訳


一年の内には底からの上げ相場が一度と天井からの下げ相場が一度の外は、大きな高下は無いものとする。上げ相場の過程での多少の下げ、下げ相場の過程の多少の上げがあるが、これは往来相場であって、天底を見る相場ではない。こうした往来相場の動きに迷ってはならない。


相場は仕掛けが最も大切である。買から入るのは、誰しも気が進まぬものであるが、利運に乗れば少しも苦しみが無い。売りは利息も入って来るし楽な気持ちで出来るものだが、相場の仕法、駆け引きが難しい。下げている時はどれだけ下るか見当もつかなくなり、買戻しが遅れるものである。迷った時は下げの動きや、人気に左右される事無く、欲心を離れて買い戻すが第一である。

 

 

3.私の解釈


当節では、売り方になった時の駆引きの難しさ、について説かれています。前半は原文をそのまま読んで頂ければ、分かると思うのですが、大きなトレンドが出ている相場は一年の内、上げ下げ共に1回程度であり、後は往来相場であるから、踏み出しが大切であると説かれています。

 

後半は、当時の米相場では現代とは異なり、売り方に利息が入り、買方は利息を払わなければいけない為、売りで踏み出すには抵抗が小さいものでしたが、下げ相場の特徴として、買方が投げ出すと更なる買い方の投げを呼び、相場の動くスピードが速くなり、それを見ている売り方は、欲も絡み何処まで下げるか判らなくなり、結果買戻しが遅れることになってしまうので、駆け引きが難しいと説かれています。

 

私としましては、この原文末に、「二つ仕舞、三つ十分、四つ転じ、是三位の秘伝なり」、と付け加えれば、よりしっくりくるのではと思います。

 

即ち、二つ、三つで2回に分けた早めの手仕舞いを行い、ノーポジの状態で大底を確認、反転を見届けて途転買いに転ずる、これが宗久翁の説く駆引きでは無いでしょうか。
 

以下参考
 

第14節 「二つ仕舞、三つ十分、四つ転じの事」
第45節 「下げ相場利運心得方の事」