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本日は、現代訳宗久翁秘録 第77節「売買気を転じ秘伝の事」をご紹介致します。
1.原文
米弱みに見へ、頻りに売気進み立候節、三日待、気転じ買方に付くべし、極めて利運なり。是非上ぐべしと買気進み立候節、是亦気を転じ売るべし、米商の極意なり。常々此心忘るべからず。我強気の節は、人も強気と思ふべし。我弱気の節は、人も弱気に片寄るなり。上げ詰下げ、下げ詰上る、陰陽自然の道理なる故、考に不及なり。専ら三位伝に任すべし。
2.現代訳
相場が弱く見え盛んに売り気にが進み立つ時は、三日待ち、気を転じて買い方に付くがよい。必ず利運に乗る。また、確かに上げるとものと買い気が進み立つ時は、これまた気を転じて売るが良い。これが相場の極意である。常々この心掛けを忘れてはならない。自分が強気の時は、他人も強気と思うがよい。自分が弱気の時は、他人も弱気に片寄るものである。
上り詰めたものは下がり、下がるだけ下がったものは上がる。これは陰陽自然の道理であって、考えてもしかたがないことである。三位の秘伝のみに頼るが良い。
3.私の解釈
この節では、第65節「米商の秘伝、気を転ずる事」に引き続き、気を転じる事の重要性について説かれています。自分が買いたくなった(売りたくなった)時は、他人もそうであり、ぐっと3日堪えて待ち、反対売買する事が極意であると言う内容です。
宗久翁秘伝を読み進めると、繰り返し同様の内容を関連させながら、書かれている事に気づきますが、その繰り返し説かれている内容は、重要事項であると捉えて良いと思います。この節の、「気を転じる事」「3日待つべし」「陰陽自然の道理」「三位の伝」がそれに相当し、私としましては、後者2項を重視したい所です。
「上げ詰下げ、下げ詰上る」、これは行き過ぎの事で、この節で説かれる三位の伝とは、行き過ぎを見極める技法の事であり、相場の水準、風、人気を考慮して、3段下げ(上げ)を目安とする、これが「二つ仕舞、三つ十分、四つ転じ、是三位の秘伝也」であると思います。
それを実践するには、一つ覚えの様ですが、チャートを分析する事が最良である有ると考えます。チャートと真摯に向き合う者が勝利すると思います。