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持合後、売買秘伝の事

2014/11/14 18:28:38

テーマ:現代訳 宗久翁秘録

 

本日は、現代訳宗久翁秘録、第30節、「持合後、売買秘伝の事」をご紹介致します。
この節は、前回ご紹介しました、第29節「大高下過、通ひ相場の事」と関連していますので、併せて原典をお読み頂けたら良いと思います。

 

1.原文

目次

右持合の時、少々下げ目に成時、此米下相場と皆々思ひ付、兼て売方の人は図に当ると心得、猶々売込み、買方の人も、扨こそと売逃げ、却って売過ぎ致す心になり、我先々々と売込み候故、猶々下るなり。此時買ふべし、極めて利運なり。甚だ買悪き者なれども、買ふべき也。数年の者も、後悔多し。通ひの商内は、十表上げを的にし、手早に見切ること第一なり。

 

2.現代訳

この往来相場では、多少の下げ目に当る時にこの米は下げ相場かと皆が皆思い立っているのに加えて、売り方の人は図に当ったと考えてますます売り込み、買い方の人も危ないと考えて売り逃げるばかりか、ドテン売り越す気持ちになって、皆我先に売込むから益々下るものである。此の時買うべきである。確実に利運に乗る事が出来る。

甚だ買い難い所だが必ず買うべきである。米相場に数年の経験を持つ者も、こう言う相場の動きには騙され易く、後悔する事が多い。往来相場の戦術としては、十表上げを目途として、早め早めに、見切る事が第一である。

 

3.私の解釈

この節では、第29節と同様に、「大高下(天井、底)を付けた」後のBOX相場見様について説かれています。

 

保ち合い相場の時は、その高下を付けた時に、今度こそはブレイクすると思い買い(売り)を入れたくなるものですが、これは相場経験が豊富の人でも陥りがちな失敗で、高値掴み安値売りに成りかず、これを避けるには、高下ブレイクを狙うのではなく、早めの利食いに徹する事が肝要であると言う意味であると思います。

 

また、付け加えるならば、天底を狙うものでは無く、天底を確認してからの踏み出しを心掛ければ、高値掴み安値売りを避けることが出来、それにはチャートを分析する事が一番の近道である考えます。チャートは全てを語ってくれる、これは真実であると思います。