本日は、現代訳宗久翁秘録、第33節、「商内仕舞四五十日休の事」をご紹介致します。
この節は、第1節にご紹介しました、「米商は付出し大切の事」と関連していますので、併せて原典をお読み頂けたら良いと思います。
1.原文
目次
米上るべしと買入れ置き、最初の思入より上げ越し十分仕当る時、上げ詰め行当る時は、意地悪敷高下する者なり。其節商内仕舞、四五十日休むべし。右休み内、見抜候程の商場有りとも、決してせざる者なり。乗米多少船手買入に不構、十分仕当る商内は、右の処にて仕舞、四五十日篤と米の強弱を考へ、三位の伝に引合せ、立羽を極めて売買すべし。売方にて仕当る時も、同断の事。
2.現代訳
この米は上がると考え買い入れて置き、当初の見込みから見て十分上げ越し、天井を打ってしまうと相場は意地悪く高下する様になる。
こうした場合は買いを手仕舞い、四、五十日相場を休むが良い。休んでいる間は、見極めの付く買い場、売り場があったとしても、決して手出しをしてはならない。買い乗せ、売り乗せの多少、他国からの買い入れの有無にかかわらず、見込み通りになった相場は手仕舞ってから、四、五十日の間はじっくりと相場の強弱を考え、三位の秘伝に照らしてから、自分の方針をしっかり決めて、再び相場をするが良い。
売りで見込み通りとなった時も全く同様である。
3.私の解釈
この節では、「休むも相場」 について説かれています。
宗久翁秘録原典には、当節、第1節、の他に、度々 「四五十日休むべし」 との文言が登場しますが、見込み通りに取れた時、見込が外れ早々に損切りした時、共にその後四五十日休み、その間はただ休むのでは無く、相場の値動きを注視し、三位の伝に引き合わせ天底の位を考え仕掛けるべし、と説かれています。
これらを勘案し当節を読み解きますと、仕掛ける前に十分分析、取るべく値幅を決め、仕掛け、手仕舞い、休み、のサイクルを回しながら、相場に臨むべきであると言った所でしょうか。
また、休みの期間はただ休むのでは無く、次の相場に向け、相場を分析しながら準備をすると有りますが、それには、全ての材料を織り込み全てを語ってくれるチャートの分析が最良の方法であると私は考えます。